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2024年4月28日

ε-n論法とε-δ論法(Metric Space)

※私は数学者ではありません。自分用のまとめとしてこれを書いています。楽しむ範囲でご覧いただければ幸いです。内容の正確性については専門家のサイトや動画、あるいは専門書で必ず確認をお願いします。


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前回の記事の終わりに収束という言葉を用いました。今回は収束を調べる重要なツールであるε-n論法とε-δ論法を紹介します。


ε-n論法
この論法は、点列の収束を調べるときに使います。ここでは前回紹介した収束列を例に概観します。まずは定義を振り返りましょう。距離空間 (X, d)内の点列がXの元 x^*に向かう収束列であるとは

 \lim_{j\rightarrow\infty}d( x_j, x^*)=0

これと同値な言明は

すべての \varepsilon についてある順番 \bar{j} が存在し、その順番以降のすべての点 x_jについて d(x_j, x^*)<\varepsilonとなる。

さらに、開球を用いた同値な言明は

すべての \varepsilon についてある順番 \bar{j} が存在し、その順番以降のすべての点 x_jについて x_j\in B_X(x^*, \varepsilon)となる。

このように、収束の定義に \varepsilonn(ここでは空間の次元に n を用いているので代わりに j で表記しています)が登場することから、イタリックで書いたように点列の収束を調べる方法をε-n論法といいます。

なんだか難しそうですが、点列が小さな球に収まるのであれば、もうそれはどこへも行かずそこに止まるということです。収束とは、もうどこへも行かないということです。


ε-δ論法
この論法は、写像の収束を調べるときに使います。距離空間(X, d_X)から孤立点を除いた部分集合 E から (Y, d_Y)への写像 fx^*で連続であるとは

 \lim_{x\rightarrow x^*}f(x)=f(x^*)

これと同値な言明は

すべての \varepsilon について、d_X(x, x^*)<\delta の像が d_Y(f(x), f(x^*))<\varepsilon を満たすような \delta が存在する。

さらに、開球を用いた同値な言明は

すべての \varepsilon について、x\in B_X(x^*, \delta) の像が f(x)\in B_Y(f(x^*), \varepsilon) を満たすような \delta が存在する

さらにコンパクトに表現すると

すべての \varepsilon について、f(E\cap B_X(x^*, \delta))\subset B_Y(f(x^*), \varepsilon) となる \delta が存在する。

プログラミングのコードを書き慣れてくると、できるだけコンパクトに表現したくなりますよね。なんだかそんな感じです。収束の定義に \varepsilon\delta が登場することから、イタリックで書いたように写像の収束を調べる方法をε-δ論法といいます。

これもとてつもなく難しそうですが、定義域の収束先であるx^*を中心とする小さな球の中から点を取り出して得られる像は、像の収束先である f(x^*) を中心とする小さな球に収まるということです。出所も行先も収束先のすぐそばというのは、収束の定義そのものです。

ここで定義域から孤立点を除いたのは、x^*が孤立点であるとき、そこへ向かう点列を作りようがないためです。絶海の孤島がゴールであるとき、そこへ徒歩で向かえますか? 無理ですよね。それで孤立点をあらかじめ除きます。

集合論の記法は、論理の穴を見つけるのにとても便利だと思います。これまで収束を調べるとき、孤立点について考えたことがありませんでした。

この記事はこちらの動画を参照しました。
こちらのpdfファイルもわかりやすいです。


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さらに理解を深めるには、内点、内点集合、集積点、孤立点、導集合、閉包などの用語を知らなければなりません。すべてつながっていることが見えてくると、学びが止まらなくなります。