2024年4月15日

集合の濃度(Set Theory)

※私は数学者ではありません。自分用のまとめとしてこれを書いています。楽しむ範囲でご覧いただければ幸いです。内容の正確性については専門家のサイトや動画、あるいは専門書で必ず確認をお願いします。


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集合の濃度(cardinality)とは、大まかに、集合の要素の数です。前の記事で例に用いた2つの集合$\{1, 2, 3\}$と$\{カレー, 天丼, ラーメン\}$の要素の数はいずれも3つですので、濃度は等しいです。濃度の特徴から、集合を3種類に分けることができます。


  • 有限集合:3つ、100個、$n$個など
  • 可算無限集合:数えられるけど、数え終わらない
  • 非可算無限集合:そもそも数えることができない

1つめの有限集合はわかりやすいです。上の例では、集合の要素の数はいずれも3でした。

2つめの可算無限集合とは、1, 2, 3, …と要素の数を数えることができても、数え終わることはない集合です。たとえば、とても大きな集合の要素を1,000,000,000,000(1兆)まで数えたとしましょう。一秒ずつ1兆個まで数えるのに3万年を超える年数かかります。それでもまだ要素の数を数え終わらないのであれば、1兆1、1兆2、1兆3、…と数え続けなければなりません。このように数えられるけどキリがない数(自然数個)要素がある集合のことを可算無限集合といいます。

3つめの非可算無限集合とは、そもそも要素の数を数えることができない集合です。実数の集合を例に考えてみましょう。実数の数直線上で、1より大きい最小の数は何でしょうか。1.01でしょうか。1より大きく1.01より小さい1.001があるので違います。では1.001はどうかというと、これも違います。1より大きく1.001より小さい1.0001があるからです。では、実数の数直線上で1より大きい最小の数は何かというと、答えようがないですよね… こうした、要素の数を数えようがない集合を非可算無限集合といいます。

有限集合の濃度は比べやすいです。集合の要素の数を数えるだけです。たとえば$A=\{1, 2, 3\}$、$B=\{10, 20, 30, 40\}$であれば、$A$の要素の数は3、$B$の要素の数は4ですので、$A$の濃度は$B$より低いとすぐわかります。濃度を絶対値で表すと

$$|A|<|B|$$

可算無限集合と非可算無限集合の濃度をどう考えるかは難しいです。なぜかというと、どちらも要素が無限個あるからです。でも、直感的に、可算無限集合より非可算無限集合のほうが濃度が高いと感じます。この直感にそって、数学ではこれらの集合の濃度は異なると考えます。自然数を$\mathbb{N}$、実数を$\mathbb{R}$とおくと

$$|\mathbb{N}|=\aleph_0$$
$$|\mathbb{R}|=\aleph$$
$$\aleph_0<\aleph$$

不思議な記号$\aleph$はアレフと読みます。高度な話になって恐縮ですが、全体集合と同じ濃度の真部分集合が存在する不思議な集合を無限集合といいます。なんだかドラえもんの四次元ポケットみたいですね。たとえば、指数関数 $y=e^x$ は $x\in\mathbb{R}$ から $y\in \mathbb{R}_+$ への全単射とみることができます。全単射ですから、始域である実数$\mathbb{R}$と値域である実数の真部分集合(正の実数$\mathbb{R}_+$)の濃度は等しくなります。

$$|\mathbb{R}|=|\mathbb{R}_+|=\aleph$$

全体集合とその真部分集合の濃度が等しいというのは直感に反しますが、ふだん何気なく使っている指数関数が全単射であることから、実数とその真部分集合の濃度は等しいことがわかります。これに対して、全体集合と同じ濃度の真部分集合が存在しないふつうの集合を有限集合といいます。有限集合と可算無限集合をあわせて高々可算集合(at most countable set)といいます。