2024年3月29日

対数とは?(易しめ)

文系の私たちにとって、対数は鬼門だと思います。対数と聞くだけで「わからない」と思考停止してしまう人も多いのではないでしょうか。ここではそういう人向けに考え方を紹介します。


対数(log)は、たとえばこんなふうに書いてあります。


$$log_28$$


この式の意味は意外とかんたんです。これは、左下の小さな数(底:2)を何回掛けたら右上の大きな数(真数:8)になるか、というなぞなぞです。2を3回掛けると8になりますので、答えは3です。対数が出てきたら「何回掛ける?」というなぞなぞだと思ってください。


$$log_28=3$$


では、なぞなぞを少しだけ難しくします。


$$log_{10}150$$


これは10を何回掛けたら150になる? です。10を2回掛けたら100、10を3回掛けたら1000ですので、答えは2より大きく3より小さい値になりそうです。


$$10\times 10=100<150<1000=10\times 10\times 10$$


左の不等式に注目しましょう。100を1.5倍したものが150ですので、不等号(<)を等号(=)にするには、左辺に1.5を掛ければよいということになります。


$$10^2\times1.5=150$$


10を底とする指数形式で、1.5をむりやり表すと


$$1.5=10^X$$


ここで私たちが知りたいのは、10を何回掛けたら1.5になる? というなぞなぞの答え$X$です。多くの人は「10のなんとか乗が1.5になるとはどういうこと?」となります。なぜかというと、10を1回かけただけでも10となり、1.5より大きな数字になるからです。「もしかして、答えは0より大きく1より小さい小数になる?」と思えた人は勘の鋭い人だと思います。


「10のなんとか乗が1.5になる小数なんて見つけられない」と思われるかもしれませんが、心配しないでください。このときのために常用対数表があります。常用対数表は高校の教科書の最後についています。この表は「10を何回掛けたらこの数になる?」というなぞなぞの答えを一覧表にしたものです。下のリンクに表があります。

常用対数表(東書ネットのサイトから


とても大きな表ですが、見方はそれほど難しくありません。一番左の縦に1.0, 1.1, 1.2…と数字が並んでいます。これは出したい値(ここでは1.5)のうち、小数第1位までの値にあたります。一番上の横に0, 1, 2, …と数字が並んでいます。これは出したい値のうち、小数第2位の値にあたります。1.5に対応する値は、1.5の行と0の列が交差するマス目に書いてあります。「.1761」と書いてありますので、10を0.1761乗すると1.5になりそうです。


$$1.5=10^{0.1761}$$


10の右上に書いてある小さな数字(べき指数)は足せますので


$$150=10^2\times1.5=10^2\times10^{0.1761}=10^{2+0.1761}=10^{2.1761}$$


となります。よって


$$log_{10}150=2.1761$$


です。10を何回掛けたら150になる? というなぞなぞの答えは、10を2.1761回掛けたら150になる、であることがわかりました(常用対数表は小数第4位までの値までしか教えてくれませんので、厳密には150にとても近い数になる対数値です。)。エクセルなどの表計算ソフトを使って計算すると、小数点の位を増やした値を見ることができます。


$$log_{10}150=2.176091…$$

$$10^{2.1761}=150.003019…$$


対数は、小さい数を何回掛けたら大きい数になる? というなぞなぞだと思ってください。