※私は数学者ではありません。自分用のまとめとしてこれを書いています。楽しむ範囲でご覧いただければ幸いです。内容の正確性については専門家のサイトや動画、あるいは専門書で必ず確認をお願いします。
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素集合
素(disjoint)とは、重なっていないということです。たとえば、神奈川県と秋田県は地図上で重なっていません。「この番地は神奈川県であり、秋田県でもあります」というところはないはずです。集合$A$と$B$の両方に入る要素が1つもないことを互いに素といい、そのような集合を素集合(disjoint sets)といいます。式で書くと
$$A\cap B=\varnothing$$
$A$と$B$が可測であるとき、素集合の測度は$A$の測度と$B$の測度の和と等しくなります。
$$\mu(A\cup B)=\mu(A)+\mu(B)$$
神奈川県と秋田県を合わせた面積は、神奈川県の面積と秋田県の面積の和に等しいという、私たちの感覚に合う結論が測度の世界でも得られます。
集合族
つづいて、集合を有限個並べて集合にしたもの$\{A_1, A_2, A_3, …, A_J\}$について考えます。こうしたものを集合族(familiy of sets)といいます。すべての要素が可測集合である集合族の和集合と積集合は、ともに可測です。すなわち
$$\bigcap_{j=1}^JA_j \bigcup_{j=1}^JA_j$$
はともに可測です。すべての$j\neq k$について$A_j\cap A_k=\varnothing$であれば、和集合の測度は完全加法性を満たします。すなわち
$$\mu\left(\bigcup_{j=1}^JA_j\right)=\sum_{j=1}^J\mu(A_j)$$
47都道府県からなる日本国の面積は各都道府県の面積の和であるというこの結論は、私たちの感覚に合います。数学は難しいものではありますが、奇を衒った突拍子もないものではありません。大半は極めて常識的なものです。
集合列
さらに、集合を可算無限個並べた集合$\{A_1, A_2, A_3, …\}$に拡張しましょう。こうしたものを集合列(sequence of sets)といいます。すべての$j\neq k$について$A_j\cap A_k=\varnothing$であれば、可測な集合列の和の測度も完全加法性を満たします。すなわち
$$\mu\left(\bigcup_{j=1}^{\infty}A_j\right)=\sum_{j=1}^{\infty}\mu(A_j)$$
集合列の要素がどんどん大きくなるとき、すなわち、すべての $j$ について $A_j\subset A_{j+1}$であるとき、単調増加な集合列といいます。この和の測度は最後の、つまり最大の要素の測度に収束します。
$$\mu\left(\bigcup_{j=1}^{\infty}A_j\right)=\lim_{j\rightarrow\infty}\mu(A_j)$$
ある人の居住地を最も小さな単位で表すと、「5階1号室に住んでいます」などとなります。1段階大きなくくりでは「〇〇マンションに住んでいます」、くくりを少しずつ大きくしてゆくと「△△市に住んでいます」「××県に住んでいます」「日本国に住んでいます」「地球に住んでいます」…となります。最後の一番大きなくくりにそれまでのくくりすべてが含まれています。単調増加とはこういう状況です。
単調増加な集合列と対をなすのが単調減少な集合列です。これは、要素がどんどん小さくなる、つまりすべての $j$ について$A_{j+1}\subset A_j$であるような集合列です。この積の測度は最後の、つまり最小の要素の測度に収束します。
$$\mu\left(\bigcap_{j=1}^{\infty}A_j\right)=\lim_{j\rightarrow\infty}\mu(A_j)$$
ただし、$\mu(A_1)$は有限とします(最小の要素の測度になるのだから、この条件は不要にみえますが、証明の過程で必要となります)。この式は上式とよく似ていますが、上式は和$\bigcup$、この式は積$\bigcap$であることに注意しましょう。
玉ねぎ🧅を横で輪切りにすると同心円状にリングが重なっていますよね。リングを外側から1枚ずつ取り除いてゆくと、最後に一番小さな真ん中だけが残ります。単調減少とはそんなイメージです。