2020年4月6日

n次関数の微分

今回はn次関数の微分です。ここでは難しい微分の定義ではなく、とりあえず計算ができるようになることを目標に説明します。

目次
  1. 微分とは
  2. 1次関数の微分
  3. 2次関数の微分
  4. 3次関数の微分

この記事を動画にしてみました。あわせてご覧ください。

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(数式の部分、スマホから見ると文字化けしてしまうかもしれません。TeX系の宿命です。申し訳ないです…)


1 微分とは

$x$ がかすかに動いたとき $y$ はどれくらい動くか」を調べるものが微分です。関数の値は増えるのか、減るのか、変わらないのかをみたり、最大値や最小値を調べるときに使います。

微分の定義は難しいので、ここでは機械的に微分の計算ができる手順を紹介します。手順は3段階です。

a $x$の肩に乗っている(べき)指数という重荷をおろす
b 重荷を1回おろしたことを記録する
c 式をきれいにする

n次関数も、もっと複雑な関数も、基本この3段階の手順で微分ができます。微分をして得られる関数を導関数といいます。微分の記号にはいくつかあります。よくみる記号は

$$y'、f'(x)、(f(x))'、\frac{dy}{dx}$$

はじめの2つはみたことがあるのではないでしょうか。後の2つも微分の記号です。これら4つの記号はみな同じ意味を持ちます。










微分の準備として、指数の性質をおさらいしておきましょう。これだけわかれば今回は大丈夫です。

0乗: $x^0=1$
1乗: $x^1=x$
べき指数の引き算:$x^{2-1}=x^1=x$

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2 1次関数の微分

前回紹介した $y=x+2$ という1次関数を微分します。$x$ は第2項にありませんが、$2=2\times1=2\times x^0$ と書き直すことができます。よって微分する関数は

$$y=x^1+2x^0$$

となります。これをa、b、cの3段階で微分します。まず、肩の重荷をおろします(a)。第1項の肩に乗っている1、第2項の肩に乗っている0を、それぞれおろします。

$$1\times x^1+0\times 2x^0$$

つづいて、重荷を1回降ろしたことを忘れないように、べき指数にー1を書き加えます(b)。

$$1\times x^{1-1}+0\times 2x^{0-1}$$

この式をきれいにすれば微分の完成です(c)。第2項は0の掛け算ですから0になります。第1項は

$$1\times x^{1-1}=x^0=1$$

よって、1次関数 $y=x+2$ の1階の導関数は

$$y'=1$$

となります。値が数字の1であるということは、$x$ がかすかに動いたとき、$y$ も同じだけ動くことを意味します。$x$ の増えかたは一定であることがわかりました。


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3 2次関数の微分


前回紹介した $y=-x^2+2x-3$ という2次関数を微分します。手順は1次関数のときとまったく同じです。微分の準備として、すべての項に $x$ をつけます。

$$y=-x^2+2x^1-3x^0$$

ここからa、b、cの3段階です。まず肩の重荷をおろします(a)。

$$2\times (-x^2)+1\times 2x^1-0\times 3x^0$$

つづいて、重荷を1回降ろしたことを忘れないように、べき指数にー1を書き加えます(b)。

$$2\times (-x^{2-1})+1\times 2x^{1-1}-0\times 3x^{0-1}$$

この式をきれいにすれば微分の完成です(c)。第3項は0の掛け算ですから0になります。第1項と第2項は

$$-2x+2$$

よって、2次関数 $y=-x^2+2x-3$ の1階の導関数は

$$y'=-2x+2$$

となります。導関数に $x$ があるということは、$x$ がかすかに動いたとき、$y$ がどう動くかは $x$ の値次第ということを意味します。この点について下図をみましょう。$x<1$のとき導関数の値はプラスです。この領域では、$x$ がかすかに動いたとき、$y$ は増えます。$x=1$ のとき導関数の値は0になります。この点では、$x$ がかすかに動いたとき、$y$の値は変わりません。$x>1$のとき導関数の値はマイナスです。この領域では、$x$ がかすかに動いたとき、$y$ は減ります。












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4 3次関数の微分

前回紹介した $y=x^3-2x^2+3x-4$ という3次関数を微分します。手順は同じです。微分の準備として、すべての項に $x$ をつけます。

$$y=x^3-2x^2+3x^1-4x^0$$

ここからa、b、cの3段階です。まず肩の重荷をおろします(a)。

$$3\times x^3-2\times 2x^2+1\times 3x^1-0\times 4x^0$$

つづいて、重荷を1回降ろしたことを忘れないように、べき指数にー1を書き加えます(b)。

$$3\times x^{3-1}-2\times 2x^{2-1}+1\times 3x^{1-1}-0\times 4x^{0-1}$$

この式をきれにすれば微分の完成です(c)。第4項は0の掛け算ですから0になります。そのほかの項は

$$3x^2-4x+3$$

よって、3次関数 $y=x^3-2x^2+3x-4$  の1階の導関数は

$$y'=3x^2-4x+3$$

となります。導関数に $x^2$ と $x$ があるということは、$x$ がかすかに動いたとき、$y$ がどう動くかは $x$ の値次第ということを意味します。この点について下図をみましょう。$x<0$のとき導関数の値はプラスです。この領域では、$x$ がかすかに動いたとき、$y$ は増えます。$x=0$ のとき導関数の値は0になります。この点では、$x$ がかすかに動いたとき、$y$の値は変わりません。$x>0$のとき導関数の値はプラスです。この領域では、$x$ がかすかに動いたとき、$y$ は増えます。再度増加に転ずる前に小休止する $x=0$ の地点を変曲点といいます。


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このように、関数の次数が変わっても、微分の手順はまったく同じです。a、b、cの3段階は、もっと複雑な関数の微分にも使えますので是非覚えましょう。

a $x$ の肩に乗っている(べき)指数という重荷をおろす
b 重荷を1回おろしたことを記録する
c 式をきれいにする
  

微分の詳細はこちらを。イメージをひろげましょう!
https://www.youtube.com/watch?v=9vKqVkMQHKk
https://www.youtube.com/watch?v=S0_qX4VJhMQ