目次
- 底の変換公式
- 対数関数の微分
- グラフ
この記事を動画にしてみました。あわせてご覧ください。
(数式の部分、スマホから見ると文字化けしてしまうかもしれません。TeX系の宿命です。申し訳ないです…)
1 底の変換公式
対数に、底の変換公式というものがあります。自然対数を用いて表すと
log_ax=\frac {\ln x}{\ln a}
対数関数を微分するとき、この公式を使います。この式が成り立つことは、記事の一番下で説明しています。少し複雑ですので、興味のある人だけみてください。そこまで興味がない人は、公式として覚えておきましょう。
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2 対数関数の微分
前々回説明した対数関数 y=log_2x を例に、対数関数の微分を説明します。底の変換公式を使って
y=\frac{log_e{x}}{log_e2}
自然対数の記号を使って表現すると
y=\frac{\ln x}{\ln 2}
右辺の分母 \ln 2 は0.693くらいの値を取ります。自然対数の微分は、前回定義したように \frac{1}{x} です。よって
y'=\frac{1}{\ln 2}\frac{1}{x}
これで微分できました。前回自然対数を定義したおかげで、比較的簡単に微分できました。自然対数の関数の微分と比べて、\frac{1}{\ln 2} という係数が掛けられている点が異なります。対数の真数が e であるとき、この値は1となります(\frac{1}{\ln e}=1)。

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3 グラフ
下図は底を2とする対数関数とその微分のグラフです。関数の特徴をいくつか示します。
x\leq0 のとき、y と y' は定義できない
x\to 0 のとき、y\to -\infty、y'\to +\infty
x=1 のとき、y=0、y'=1
これらの特徴は、前回紹介した自然対数の関数の特徴と同じです。

10を底とする対数関数の微分についてもみておきましょう。同じ手順から
y'=\frac{1}{\ln 10}\frac{1}{x}
下図は対数関数の微分を比べたものです。2を底とする対数関数の微分の方が動きが大きいです。これは、対数関数の回にも書きましたが
底が2のとき、x が2増えると桁が繰り上がる
底が10のとき、x が10増えると桁が繰り上がる
という違いによります。

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補論:底の変換公式について
この記事のはじめに底の変換公式を示しました。
log_ax=\frac {\ln x}{\ln a}
この式が成り立つことを説明します。左辺は「a を何回掛けると x になりますか」という問いかけです。この問いの答えを b として、指数で表すと
a^b=x
両辺自然対数を取ると
\ln a^b=\ln x
左辺の b を係数にして
b\ln a=\ln x
b について解くと
b=\frac{\ln x}{\ln a}
a^b=xを対数で表すと
b=log_ax
これを代入すると
log_ax=\frac {\ln x}{\ln a}
底の変換公式が得られました。他にも次のような公式があります。必要に応じて活用しましょう。
掛け算の対数 → 対数の足し算 log_axy=log_ax+log_ay
割り算の対数 → 対数の引き算 log_a\frac{x}{y}=log_ax-log_ay
指数の対数 → 係数×対数 log_ax^n=nlog_ax