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2020年4月7日

指数と対数の関数

今回は指数と対数の関数についてです。苦手な人向けに、できるかぎりやさしく説明します。

目次
  1. 指数関数
  2. 指数関数の特徴
  3. 指数関数のグラフ
  4. 対数関数
  5. 対数関数のグラフ

この記事を動画にしてみました。あわせてご覧ください。

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(数式の部分、スマホから見ると文字化けしてしまうかもしれません。TeX系の宿命です。申し訳ないです…)


1 指数関数

前回までn次関数について学びました。たとえば、もっともシンプルな2次関数は次のように書けます。

y=x^2

2を底とする指数関数は、これとよく似ていますが次のように書きます。

y=2^x

2と x の位置が入れ替わっています。たったこれだけのことで、式が難しくなります。

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2 指数関数の特徴

よくみる指数関数 y=2^xy=10^x を例に説明します。まず、y=2^x からです。この式は、x が増えるにしたがい、2を掛ける回数が増えることを表しています。

x=0 のとき、y=2^0=1
x=1 のとき、y=2^1=2
x=2 のとき、y=2^2=2\times2=4
x=3 のとき、y=2^3=2\times2\times2=8

噂を伝え聞いた人が、その噂を1日に2人へひろめるとしましょう。1人が流し始めた噂は、10日で1,024人に伝わります。「これくらい?」という感じですが、27日目には、日本の全人口より多い134,217,728人に伝わります。2を底とする指数関数は、こうした爆発的な現象をうまくとらえます。

つづいて、y=10^x についてみます。この式は、x が増えるにしたがい、10を掛ける回数が増えることを表しています。

x=0 のとき、y=10^0=1
x=1 のとき、y=10^1=10
x=2 のとき、y=10^2=10\times10=100
x=3 のとき、y=10^3=10\times10\times10=1,000

地震の揺れの大きさを表すマグニチュードという単位があります。揺れを引き起こすエネルギーを E、マグニチュードを M とおくと

E=10^{1.5M+4.8}

という式が成り立ちます。この式を使って、マグニチュードが2のときと4のときのエネルギーを比べると

E=10^{1.5\times2+4.8}\approx 63,095,734
E=10^{1.5\times4+4.8}\approx 63,095,734,448

エネルギーは1,000倍になります。すなわち、マグニチュードが2上がるとエネルギーは3桁上がります。

(この例でわかるように、べき指数(ここでは1.5M+4.8)は整数でないこともあります。べき指数が整数でなくても、エクセルなどで計算できますので心配いりません。)

重要なのは、2を底とする指数関数は倍々ゲームの現象、10を底とする指数関数は桁が繰り上がる現象をうまく記述するということです。

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3 指数関数のグラフ

下図は指数関数のグラフです。y=10^x は、y=2^x より増えかたが激しいです。これは、x が1増えるたびに1桁繰り上がるためです。











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4 対数関数

指数関数と対数関数の関係をみましょう。上で用いた指数関数の xy を入れ替えて考えます。まず、底を2とする指数関数を x=2^y と表します。この式は「2を y 乗すると x になる」ことを表しています。おなじことを対数で表現すると

y=log_2x

となります。10を底とする指数関数 x=10^y も対数を使って

y=log_{10}x

と表現できます。このように、指数関数と対数関数はペアの関係にあります。指数関数が表す y→x の関係は、対数関数が表す x→y の関係とおなじです。このような関係にある関数のペアを逆関数といいます。











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5 対数関数のグラフ

下図は対数関数のグラフです。興味深いことに、y=log_{10}x のグラフは y=log_2x のグラフを上下から押しつぶしたようになっています。これは、2進数は x が2増えるごとに桁が繰り上がるのに対して、10進数は10増えないと桁が繰り上がらないためです。











「進数」という用語には難しい意味がありますが、私たちは、「10進数はふつうの数の数え方」、「2進数はコンピューターに応用される特殊な数の数え方」と覚えておけば十分だと思います。