目次
- 指数の性質
- ルート関数
- ルート関数の微分
- グラフ
この記事を動画にしてみました。あわせてご覧ください。
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(数式の部分、スマホから見ると文字化けしてしまうかもしれません。TeX系の宿命です。申し訳ないです…)
1 指数の性質
ルート関数を理解するのに必要な指数の性質を紹介します。
指数の和 x^px^q=x^{p+q}
\frac{1}{2} 乗 x^\frac{1}{2}=\sqrt{x}
-1 乗 x^{-1}=\frac{1}{x}
これらの性質については、この記事の一番下で説明します。興味のある人はみてください。そこまで興味がない人は、公式として暗記しましょう。
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2 ルート関数
ルート関数とは、x がルートの中に入っている関数です。一般には、次のように書きます。
y=a\sqrt{bx+c}
ここでa、b、c は定数です。a=3、b=1、c=2 のとき、ルート関数は
y=3\sqrt{x+2}
数のフィールドを実数とするとき、ルートの中はマイナスをとれませんので、x\geq-2 という条件がつきます。下図はルート関数のグラフです。x<-2 では、この関数は定義されません。また、定数 a がプラスの値を取っていますから、y はマイナスの値を取りません。このルート関数は、点 (0,-2) から右上に向かって進む曲線で表されます。


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3 ルート関数の微分
上で例として用いたルート関数を微分して、導関数を求めましょう。
y=3\sqrt{x+2}
記事のはじめに示したように、ルートは \frac{1}{2} 乗です。よって
y=3(x+2)^\frac{1}{2}
x と 3(x+2)^\frac{1}{2} の関係は次のように表せます。x がかすかに動くと x+2 が動きます。x+2 が動くと y も動きます。
x\to (x+2)\to y
この連動に注意して微分します。ルート関数は複雑にみえますが、手順はn次関数の微分と同じです。
この連動に注意して微分します。ルート関数は複雑にみえますが、手順はn次関数の微分と同じです。
a x の肩に乗っている(べき)指数という重荷をおろす
b 重荷を1回おろしたことを記録する
c 式をきれいにする
まず、肩の重荷をおろします(a)。
\frac{1}{2}3(x+2)^{\frac{1}{2}}
つづいて、重荷を1回おろしたことを記録します(b)。
\frac{1}{2}3(x+2)^{\frac{1}{2}-1}
x と (x+2) は連動しているので
\frac{1}{2}3(x+2)^{-\frac{1}{2}}\times((x+2)を x で微分)
(x+2) を x で微分すると1になります。よって
\frac{1}{2}3(x+2)^{-\frac{1}{2}}\times 1

これをきれいにすれば微分の完成です(c)。\frac{1}{2} 乗はルートに、-1 乗は分母になることに注意して
\frac{3}{2}(\sqrt{x+2})^{-1}
\frac{3}{2}\frac{1}{\sqrt{x+2}}
(x+2) を x で微分すると1になります。よって
\frac{1}{2}3(x+2)^{-\frac{1}{2}}\times 1

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これをきれいにすれば微分の完成です(c)。\frac{1}{2} 乗はルートに、-1 乗は分母になることに注意して
\frac{3}{2}(\sqrt{x+2})^{-1}
\frac{3}{2}\frac{1}{\sqrt{x+2}}
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補論 指数の性質について
この記事のはじめに紹介した指数の3つの性質について説明します。
a 指数の和 x^px^q=x^{p+q}
b \frac{1}{2} 乗 x^\frac{1}{2}=\sqrt{x}
c -1 乗 x^{-1}=\frac{1}{x}
まず、aからみましょう。x^p は x を p 回掛けたものです。x^q は x を q 回掛けたものです。p=2、q=3 とすると
x^2x^3=(x\times x)\times (x\times x\times x)
合わせて x を5回掛けていることがわかります。よって
x^2x^3=(x\times x)\times (x\times x\times x)=x^5=x^{2+3}
2を p、3を q にもどすと
x^px^q=x^{p+q}
私たちの目的にはこれで十分です。つづいて、性質bです。ルートは \frac{1}{2} 乗で表されます。2乗するとルート記号の中の数になるというのがルートですから
\sqrt{x}\sqrt{x}=x
ルートを指数 x^a で表せるとしましょう。左辺を置き換えると
\sqrt{x}\sqrt{x}=x^ax^a=x^{a+a}=x^{2a}
右辺は x=x^1 と表されます。左辺と右辺を合わせると
x^{2a}=x^1
左辺は「x を 2a 回掛ける」こと、右辺は「x を1回掛ける」ことを意味します。これが等号で結ばれるためには、2a=1 が成り立たなければなりません。よって
a=\frac{1}{2}
これを代入すると
\sqrt{x}=x^a=x^{\frac{1}{2}}
さいごに性質 c をみましょう。性質 a の p と q を p=2、q=-1 とおきます。すると
x^2x^{-1}=x^{2+(-1)}=x
また、x^{-1}=s とおくと
x^2x^{-1}=x^2s
2つの結果を等号で結ぶと
x=x^2s
s について解くと
s=\frac{x}{x^2}=\frac{1}{x}
性質 c が成り立つことが示されました。