目次
- 指数
- 対数
- 指数と対数の表記
この記事を動画にしてみました。あわせてご覧ください。
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(数式の部分、スマホから見ると文字化けしてしまうかもしれません。TeX系の宿命です。申し訳ないです…)
1 指数
同じ数を何度も掛けたものをコンパクトに表したものを指数といいます。たとえば、10を5回掛けることを次のように表現します。
$$10\times10\times10\times10\times10\times=10^5$$
右辺の $10^5$ に大きく書いた10を「指数の底」、右上に小さく書いた5を「べき指数」、あるいは単に「指数」といいます。
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指数を使うと、ものすごく大きい数がみやすくなります。たとえば、1光年という距離の単位があります。これは、1秒で地球を7周半する光が1年に進む距離で
$$9,500,000,000,000,000$$
mくらいです。大きな数字に慣れた人は9,500兆m、と読み取れますが、ふつうの人はあまりに桁数が多いので戸惑ってしまいます。指数を使えば、これを
$$9.5\times10^{15}$$
と表せます。随分みやすくなりました。桁がどんどん繰り上がる現象は、底が10の指数で表します。
* 1光年のより正確な距離については、こちら
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底が10である指数をグラフにしてみましょう。横軸に(べき)指数、縦軸に距離(m)をとっています。左図は1光年までのグラフです。途中まで横軸に張り付いているようにみえますが、最後にグッと垂直に近い角度で上がっています。桁がどんどん繰り上がっていきますので、このようなグラフになります。右図は10光年までのグラフです。10光年の距離は1光年の距離の10倍です。それで、10光年の10分の1である1光年は下に位置しています。
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2 対数
上のグラフは、途中まで横軸にはりついていてわかりにくいです。グラフをみやすくするために、指数の(べき)指数だけ取り出してみましょう。
指数の(べき)指数だけ取り出したものを対数といいます。たとえば、下式は $10^{15}$ の対数です。$\log$ は対数を意味しています。$\log$ の右下に小さく書いてある10を「対数の底」、その右に書いてある $10^{15}$ を「真数」といいます。10を底とする対数はよく使われますので、常用対数といいます。
指数の(べき)指数だけ取り出したものを対数といいます。たとえば、下式は $10^{15}$ の対数です。$\log$ は対数を意味しています。$\log$ の右下に小さく書いてある10を「対数の底」、その右に書いてある $10^{15}$ を「真数」といいます。10を底とする対数はよく使われますので、常用対数といいます。
$$\log_{10}10^{15}$$
この式は、「10を何乗すると$10^{15}$になりますか」と問いかけています。10を15乗すると$10^{15}$になりますので、問いの答えは15です。よって
$$\log_{10}10^{15}=15$$
常用対数は大きな数字の桁数、規模感をとらえたいときに使います。
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1光年を常用対数で表してみましょう。1光年はだいたい
$$9.5\times10^{15}$$
mです。常用対数をとると
$$\log_{10}(9.5\times10^{15})$$
対数の中の掛け算は、対数の足し算で表せるので
$$\log_{10}9.5+\log_{10}10^{15}$$
第2項の値は15ですので
$$\log_{10}9.5+15$$
$\log_{10}10$ は「10を何乗すると10になりますか」という問いですから、値は1になります。第1項の真数9.5は10に非常に近い値ですから、$\log_{10}9.5$ の値は1に近いと予想されます。常用対数表の9.5のところをみると、少数第4位までの値は0.9777です。よって、式の値は16くらいになります。
下のグラフは横軸に真数の(べき)指数、縦軸に常用対数を取っています。ここに $y=\log_{10}(9.5\times10^{x})$ のグラフを書いています。この式は
$$y=\log_{10}9.5+x$$
と変形できますので、$x$ と $y$ は直線の関係になります。16に近いところに1光年の点があります。10光年はそのすぐ右上にあります。上に掲げた指数関数のグラフと比べてください。とてもみやすくなっていると思います。
下のグラフは横軸に真数の(べき)指数、縦軸に常用対数を取っています。ここに $y=\log_{10}(9.5\times10^{x})$ のグラフを書いています。この式は
$$y=\log_{10}9.5+x$$
と変形できますので、$x$ と $y$ は直線の関係になります。16に近いところに1光年の点があります。10光年はそのすぐ右上にあります。上に掲げた指数関数のグラフと比べてください。とてもみやすくなっていると思います。
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指数についてまとめましょう。桁が大きな数は指数で表すとみやすくなります。たとえば、1光年を指数で表記すると
$$9,500,000,000,000,000=9.5\times10^{15}$$
指数関数のグラフはとてもみにくいです。対数をとると指数関数が急増する手前の状況がみやすくなります。1光年の常用対数は
$$\log_{10}9.5\times10^{15}\approx16$$
となります。
3 指数と対数の表記
さいごに、指数と対数の基本的な表記法をまとめておきます。a の1乗は a を1回掛けることですから、答えは a です。対数は「底を何乗すると真数になりますか」という問いですから、a の1乗を対数表記すると右のようになります。a の0乗は a を0回掛けることです。この値は1と定義されています。対数表記すると右のようになります。a のー1乗は a の逆数となります。対数表記すると右のようになります。
a の1乗 : $a^1=a$ $log_aa=1$
a の0乗 : $a^0=1$ $log_a1=0$
a のー1乗: $a^{-1}=\frac{1}{a}$ $log_a\frac{1}{a}=-1$
このほかにもいつくか公式のようなものがあります。今日使ったのはそのうち掛け算を足し算で表現する下式です。
指数関数のグラフはとてもみにくいです。対数をとると指数関数が急増する手前の状況がみやすくなります。1光年の常用対数は
$$\log_{10}9.5\times10^{15}\approx16$$
となります。
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3 指数と対数の表記
さいごに、指数と対数の基本的な表記法をまとめておきます。a の1乗は a を1回掛けることですから、答えは a です。対数は「底を何乗すると真数になりますか」という問いですから、a の1乗を対数表記すると右のようになります。a の0乗は a を0回掛けることです。この値は1と定義されています。対数表記すると右のようになります。a のー1乗は a の逆数となります。対数表記すると右のようになります。
a の1乗 : $a^1=a$ $log_aa=1$
a の0乗 : $a^0=1$ $log_a1=0$
a のー1乗: $a^{-1}=\frac{1}{a}$ $log_a\frac{1}{a}=-1$
このほかにもいつくか公式のようなものがあります。今日使ったのはそのうち掛け算を足し算で表現する下式です。
$$\log_{a}xy=\log_{a}x+\log_{a}y$$
指数と対数は見慣れないものですので、苦手な人が多いと思います。この記事が参考になれば幸いです。
指数と対数は見慣れないものですので、苦手な人が多いと思います。この記事が参考になれば幸いです。