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2024年5月7日

空集合、全体集合、零集合、補集合、和集合、積集合の可測性(Lebesgue Measure)

※私は数学者ではありません。自分用のまとめとしてこれを書いています。楽しむ範囲でご覧いただければ幸いです。内容の正確性については専門家のサイトや動画、あるいは専門書で必ず確認をお願いします。


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前回の記事で測度を定義しました。今回はそのつづきです。集合Xの様々な部分集合と要素の可測性を調べます。


空集合と全体集合
空集合\varnothingと全体集合Xは可測です。これは、可測性の定義式にこれらを代入してすぐ確かめられます。

\mu(E\cap \varnothing)+\mu(E-\varnothing)=\mu(\varnothing)+\mu(E)=\mu(E)
\mu(E\cap X)+\mu(E-X)=\mu(E)+\mu(\varnothing)=\mu(E)


零集合
最小の測度を持つ要素、もしくはその集まりを零集合(null set)といいます。零集合の可測性を調べてみましょう。

\mu(E\cap A)+\mu(E-A)\leq\mu(A)+\mu(E)=\mu(E)

第1項は最小の測度を持つ零集合と任意の集合の積が零集合であることから、第2項は集合から集合を引いた結果がもとの集合以下であることから、このように変形できます。最右の等式は\mu(A)=0(最小の測度は0というのが測度の基本性質)であることから得られます。上式の最左と最右に注目すると

\mu(E\cap A)+\mu(E-A)\leq\mu(E)

これは、前回紹介した可測性の弱い条件ですので、可測性が確認できました。空集合も零集合ですので可測です。


補集合
集合Xの部分集合Aに対して、Aではないものを補集合といい、A^cと表記します。いわゆる、ではないほうが補集合です。Aが可測であるとき、A^cの可測性を調べましょう。

\mu(E\cap A^c)+\mu(E-A^c)=\mu(E-A)+\mu(E\cap A)

第1項は「ではないほうと重なる」と「であるほうを除く」が同じであることから、第2項は「ではないほうを除く」と「であるほうと重なる」が同じであることから、このように変形できます。右辺の第1項と第2項を入れ替えると

\mu(E\cap A)+\mu(E-A)

これはとりもなおさず可測性の定義式です。

\mu(E)=\mu(E\cap A)+\mu(E-A)

右辺の各項を補集合の表記に戻せば、補集合の可測性が確認できます。

\mu(E)=\mu(E\cap A^c)+\mu(E-A^c)


和集合と積集合
集合Xの部分集合A, Bの和集合とは、集合AまたはBに入る要素すべての集まりであり、A\cup Bと表記します。積集合とは、集合ABの両方に入る要素すべての集まりであり、A\cap Bと表記します。和集合はまたは、積集合はかつですので

A\cap B\subset A\cup B

となります。可測である集合ABの和集合の可測性を調べましょう。可測性の定義式は

\mu(E)=\mu(E\cap A)+\mu(E-A)

Bが可測であることを用いて\mu(E-A)を測ると

\mu(E-A)=\mu((E-A)\cap B)+\mu((E-A)-B)

これを上式の右辺第2項に代入すると

\mu(E)=\mu(E\cap A)+\mu((E-A)\cap B)+\mu((E-A)-B)

右辺第3項の形を少し変えると、項の中に和集合が現れます。

\mu(E)=\mu(E\cap A)+\mu((E-A)\cap B)+\mu(E-(A\cup B))

この式を式(*)とおきましょう。右辺の第1項と第2項は、和集合の可測性の定義式の第1項 \mu(E\cap (A\cup B))と何らか比べられるべきです。少しトリッキーですが、この集合を次のように変形します。

E\cap (A\cup B)=(E\cap A)\cup(E\cap B)
\qquad\qquad\qquad\qquad=(E\cap A)\cup((E-A)\cap B)

劣加法性から

\mu(E\cap (A\cup B))=\mu((E\cap A)\cup((E-A)\cap B))
\qquad\qquad\qquad\quad\leq\mu(E\cap A)+\mu((E-A)\cap B)

これは、この式の最左辺が、式(*)の右辺第1項と第2項の和より小さいことを意味します。式(*)の右辺第1項と第2項が最右辺であれば等式が成立しますから、それより小さい左辺を代入すれば、関係は\geqになります。すなわち

\mu(E)\geq\mu(E\cap(A\cup B))+\mu(E-(A\cup B))

この式は、可測集合A, Bの和集合が可測であることの定義式です。

さいごに、可測集合A, Bの積集合の可測性を調べましょう。補集合と和集合はすでに可測であることが確かめられていますので、次のような変形から可測であることが示されます。

(A^c\cup B^c)^c=A\cap B

私たちがよくみかける集合について、可測性が確認できました。